矯正

【歯科矯正が必要な理由】

歯並びが悪いとどうなるの?

◎むし歯や歯周病になりやすい・・・
歯が重ったり凸凹に並んでいると、十分に歯みがきできずに食べかすもたまりやすくなります。そのため、むし歯や歯周病にかかりやすくなります。

◎しっかり噛めない・・・
歯並びが悪いと正しい咬合ができません。そのために、食べ物を正しくかむことができず、まる飲みのクセがついてしまい、胃腸にも大きな負担を与えてしまいます。

◎顎の成長、顔のかたちにも影響する・・・
顎の骨や顔の筋肉は、正しくかむことで発達します。不正咬合だと、顎が未発達になったり、顔が歪んだりする影響がでてきます。

◎口もとが気になる・・・
歯並びが悪いとコンプレックスの原因になり、話したり笑うときにもつい口もとを手で隠したりします。ストレスもたまり、歯ぎしり、肩こり、姿勢も悪くなりがちです。

◎発音しにくい・・・
かみ合わせの状態によって、さまざまな発音障害がでてきます。とくに英語などの外国語の発音が難しくなります。

【当院の治療方針】

「生涯ずっと負担なく機能する咬みあわせ」に導くことが重要だと考えています。

当院の矯正治療の目的は、見た目の改善だけでなく、「歯の機能(噛み砕く・飲み込む・発音する)の改善」にあります。歯の機能を最大限に発揮させるには、28本の歯が対合する歯ときちんと咬みあう状態になることが重要です。歯列のアンバランスをなくし、「歯の機能」を引き上げ、過負担なくできる限り自分の歯が長持ちする咬みあわせに導くことが、治療の大きな目的です。
矯正治療をする事で、体のバランスを理想的な状態に蘇らせます。新陳代謝も活発になり、免疫力も高めます。見た目だけでなく、心と体の健康にも大切なことなのです。
そのために、お口の状態・生活環境・患者さまのご要望を伺いながら、最良の治療計画を提供します。

【歯並びの種類】

●叢生(そうせい)

叢生とは、歯がデコボコに生えている歯ならびのこと。乱ぐい歯(乱杭歯)とも呼ばれます。前から三番目の歯(犬歯)が歯列から飛び出した「八重歯」も叢生のひとつで、牙のように見えることから「鬼歯」とも呼ばれます。
日本ではチャームポイントとして捉えられることもありますが、欧米では「ドラキュラの鋭い歯」を連想させることから忌み嫌われ、早期に矯正されることが多くあります。
叢生の原因!
・顎の広さと歯の大きさがアンバランス
・遺伝的に片方の親から小さな顎を、もう片方の親から大きな歯を受け継いでいる
・顎の発育が不十分
・乳歯の虫歯や早期脱落などで、永久歯がうまく生え揃わなかった
・幼少期の指や舌を噛む悪癖

叢生によるリスク×
①上下の噛み合う歯の位置が微妙に異なる叢生では、噛み合わせの悪さから食べ物をきちんと噛むことができない場合があります。また、ブラッシングがしにくいために、清掃性が悪くなり、虫歯や歯周病を引き起こしやすいのも特徴。口臭につながることもあります。
②将来的に歯を失った時に行う補綴(ほてつ)治療で、歯を支える顎の骨(歯槽骨=しそうこつ)が薄いことが多いためインプラント治療が受けられないケースがあります。さらに、歯列の大きな乱れから、歯と歯に橋をかけるように人工歯を装着する「ブリッジ」による治療も困難となることがあります。

●空隙歯列(くうげきしれつ)

歯間に隙間がある状態のことをいい、すきっ歯と呼ばれます。前歯の真ん中が離れている状態を「正中離開(せいちゅうりかい)」、奥歯や全体的に隙間がある状態を「空隙歯列(くうげきしれつ)」と呼びます。歯と歯の間に食べ物が挟まりやすく、虫歯や歯周病リスクを高めます。さらに審美性の低さや発音への悪影響など問題の多い歯列です。
空隙歯列の原因!
・生まれつき歯の本数が少ない
・歯の大きさが通常よりも小さい
・過剰歯が永久歯の成長を妨害している
・上唇から前歯歯頚部につながる小帯(ヒダ)の位置異常

空隙歯列によるリスク×
①発音障害(特にサ行など)になりやすい。歯間に隙間がある場合は、前歯の突出にもよりますが息漏れをしやすくなります。特にサ行の発音に影響が出やすく、舌っ足らずなしゃべり方になってしまうことがあります。英語の発音にも影響が出ることが考えられます。
②食べ物が詰まりやすく、歯周病になりやすい。正しい歯並びだと、歯と歯がくっついているため食べ物が挟まらないようになっていますが、中途半端な隙間がある場合には、食べ物が挟まりやすくなります。このとき、食片が歯肉に押し込まれるため歯肉が傷つき歯周病の原因になることがあります。

●開咬(かいこう)

口を閉じた状態で、奥歯は噛み合っているのに前歯が噛み合っておらず、常に上下の前歯が開いている状態のこと。別名、「オープンバイト」とも言われます。奥歯でしっかり噛んでいるときでも上下の前歯同士が接触しないのが特徴で、隙間が空いてしまいます。
開咬の原因!
・遺伝的な原因
顎の骨の形態に問題があり、顎の成長とともに進行していくのが特徴です。
・呼吸器系疾患による口呼吸
口呼吸を長く続けていると唇の筋肉が弱くなり、口腔内の筋肉のバランスが崩れて歯並びが乱れてしまいます。
・指しゃぶりや舌癖
乳幼児期に指しゃぶりのクセがあると、開咬の原因となります。指を前歯に押し当てていると指の力で上下の歯が動いてしまい、徐々に開咬になっていきます。その他、舌を前に出して前歯に押し当てたり、前歯で舌を軽く噛んだり、舌を出したりするクセも開咬の原因となります。

開咬によるリスク×
①前歯で食べ物を噛み切るのが難しいのが大きな問題です。噛み切るのに不自由をすると、しっかり噛まないまま飲み込んでしまうクセがつき、胃腸に負担がかかります。場合によっては、胃腸障害を起こすこともあります。
②常に上下の前歯に隙間ができているため、話をするときに息が漏れて不明瞭な発音になってしまいます。特に、サ行・ザ行が聞き取りにくい発音になってしまいます。
③開咬の方は唇を閉じにくく、開きがちになります。唇が開いている時間が長いと、ドライマウス(口のなかが常に乾燥した状態)になり、唾液の分泌量が減少します。そうなると、口腔内に細菌が増殖しやすくなり、虫歯や歯周病、口臭を招きやすくなります。
④前歯が噛み合わないため、常に奥歯で物を噛みます。そうなると、顎の関節・筋肉も疲労しやすいため、顎関節症になる確率が高くなります。また、奥歯に必要以上の負担がかかるため、奥歯の詰め物・被せ物が外れやすくなったり、奥歯が破折したりするケースもあります。

●過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合とは、上下の前歯の噛み合わせが深く、上の前歯が下の前歯を覆っている状態のことで、「ディープバイト」とも呼ばれます。
正常な噛み合わせの場合、「イー」と口を開けたとき、上の前歯は下の前歯を3分の1から4分の1(2~3mm)くらい覆っていますが、過蓋咬合の場合、下の前歯がほとんど見えないくらい上の前歯が極端に深く被さっています。
過蓋咬合の原因!
・遺伝による骨格・歯の異常
歯の位置・傾きに異常がある場合、顎の骨の位置に異常がある場合、顎の骨の大きさがアンバランスな場合(下顎の成長不良・上顎の過成長)、前歯が過剰に伸びている場合、奥歯が通常より伸びておらず、高さが不足している場合など、様々なケースが考えられます。
・乳歯を早期に失った
早い時期に乳歯を失うと永久歯の生え変わりに支障が出て、歯にかかる負担のバランスが狂い、噛み合わせが深くなっていくと言われています。

過蓋咬合によるリスク×
①過蓋咬合の人は、上の歯が下の歯に大きく被さっており、歯と歯の接触が著しいため下顎を動かしにくくなります。そうなると、慢性的に顎の関節に負担がかかり、口を開けにくくなったり、口を開けるときにカクカクと音がしたり、痛くて口を大きく開けられないといった症状を伴う「顎関節症」を発症することがあります。
②前歯同士が強く接触することで歯が極端にすり減りますし、重度になると、下の前歯が上顎の歯茎を傷付けて炎症を起こすケースもあります。
③咀嚼をしたり飲み込んだりする運動がうまくできない、発音がこもって聞き取りにくくなるなどの悪影響が出ることも少なくありません。外見的には、笑ったときに上の歯茎が見えやすくなるため、これをコンプレックスに感じる方もいらっしゃいます。
④どうしてもお口の中の清掃状態が悪くなりがちで、虫歯や歯周病、口臭を招きやすいのは他の不正咬合と同様です。

●上顎前突(じょうがくぜんとつ)

いわゆる「出っ歯」と呼ばれる状態です。
顔を横から見た時に上の前歯が下に比べ大きく前に出てしまっています。
上顎前突には2パターンあり、奥歯は正しく咬めているのに上の前歯が前方に傾斜してしまっているせいで出っ歯に見えるケース(歯性上顎前突)と、骨格的にズレてしまっていて出っ歯になるケース(骨格性上顎前突)とがあります。
後者は通常の矯正治療では並びがキレイになっても、噛み合わせがおかしくなってしまうようなこともありますので慎重な判断が必要です。重症例では外科的な手術が必要な場合もあります。
!上顎前突の原因
・指しゃぶりや爪を噛む癖
・舌で前歯を内側から押してしまう癖
・骨格性のもの

×上顎前突によるリスク
①口唇が開いていると、ドライマウス(口が乾いた状態)になり、唾液の分泌量が低下してしまいます。唾液の抗菌作用が少なくなることから、細菌が増殖し、結果として口臭発生の原因になります。
②前歯の傾きが大きい場合、不慮の事故(例えばスポーツによる体のぶつかり合い)により前歯を折ってしまったり、唇を傷つけてしまうこともあります。

●下顎前突(かがくぜんとつしょう)

上顎前突(出っ歯)とは逆に下顎が前に出てしまう不正咬合です。
よく「受け口」とか「しゃくれ」などと呼ばれます。
また逆に、下顎の骨の成長が悪く、鳥の横顔のようにみえる鳥貌 (ちょうぼう)や、顎の関節が外傷や感染などにより傷害された場合の顎関節強直症(がくかんせつきょうちょくしょう)等があげられます。
!下顎前突の原因
下顎前突は、遺伝的な要因と後天的な要因がありますが、多くは遺伝的要因によって起こると言われています。遺伝の場合は、下顎の過成長や上顎の成長不足などによって症状が現れます。後天的な場合は、乳幼児期の指しゃぶり、舌で下の歯を押す癖、下顎を前に出す癖、頬杖をつく癖などが原因となります。また、鼻づまりによって慢性的に口呼吸をしていると下顎前突になることがあります。

×下顎前突によるリスク
①下顎前突は、第一に外見的な問題があります。下顎がしゃくれていて長く見えるため、コンプレックスを抱く方も多くいらっしゃいます。
②歯がしっかり噛み合わず、食べ物を噛み切りにくいのも問題です。発音においても、「サ行」や「タ行」が発音しづらくなるなどの影響が出ますし、顎関節症を誘発するリスクもあります。特に成長期に下顎前突の兆しがある場合は、上下の顎の成長バランスが崩れ、極端に下顎だけが発達したり上顎の成長が遅れたりするため、早期の改善が望まれます。

【おとなの矯正とこどもの矯正】

●成人矯正

ブラケットとワイヤーを装着して行う矯正治療です。
一般に矯正と聞くとこのタイプを想像される方が多いかと思います。
主に大人の方の矯正でよく使用されます。第二大臼歯が生えきる15歳頃からスタートになる治療法です。
ブラケットと呼ばれる器具をそれぞれの歯に装着し、形状記憶のワイヤーを通していきます。
  ガタガタな歯ならびなのでワイヤーもガタガタに曲がりますが、形状記憶ワイヤーが元に戻ろうとする力で歯も一緒に正しい方向へと導かれていきます。
100年以上の歴史を持つ治療法ですので、治療の確実性が高く、問題が発生した時の対処法も確立されています。

 以前はブラケット(歯に装着する器具)が金属性で銀色のものが主流であり、悪目立ちすることがありましたが、近年はプラスチック性の透明なものが流通してきており、審美性も向上しています。
しかし、透明といっても全く見えない訳ではありませんし、ブラケットを装着することで歯磨きが困難になるというリスクもあります。

●小児矯正

床矯正装置とよばれる装置を使う子ども(小学生)用の矯正治療です。
乳歯列期である6~10歳頃が対象となります。
 大人の矯正と違い、歯を動かすのが目的ではなく、顎の成長を補助することを目的とした治療です。
歯並びが悪くなるのは「顎に歯が並ぶスペースがない」が大きな原因と言われています。
装置の中央にネジが付いていて、ネジを回すと装置が横に広がり、成長期の子どもの顎の発達を補助してくれます。
顎が大きくなるといっても、歯を並べるために必要なスペースは数ミリ程度なので、矯正をしたせいで顔が大きくなってしまうという心配はありません。

 顎にスペースを作ることで自然といい位置に永久歯が萌出するよう誘導します。
だいたい7割ぐらいの方がこの小児期の矯正だけで正常な歯並びを獲得することができます。
生まれつきの歯の向きなどでどうしても並びきらない場合は永久歯が生えきるのを待って(14~15歳)成人矯正へと移行してゆきます。

 小児矯正だけで終われれば金額面やブラケットを使用しない点で有利ですし、成人矯正に移行した場合も抜歯矯正になるリスクを低減させることができます。
当院で治療を受けられる場合は差額で成人矯正に移行できますので、矯正治療を行っていくなかでの「予備動作」のようなイメージです。

【マウスピース矯正】

マウスピース型矯正(インビザライン)とは、米アライン・テクノロジー社が開発したマウスピースによる治療システムです。2006年に日本でも導入され、全世界の臨床データをもとにした高度な治療計画をデジタル上で作成でき、再現性の精度が大変高いことが特徴です。透明なマウスピース型矯正(インビザライン)は付けていることが目立たず、自分自身で取り外すことも可能。さらにインビザランなら、通院頻度が一般的な矯正治療より少なくなるといった利点もあります。
マウスピース型矯正(インビザライン)のメリット
①透明で他人から気付かれにくい
②矯正中の痛みが小さい
③自分で取り外しが可能
④通院頻度が少ない
マウスピース型矯正(インビザライン)のデメリット
①装着時間を自己管理する必要がある
つけ忘れや装着時間の不足は後戻りや治療の遅延を引き起こします
②中には対応できない症状も
「噛み合わせ」の改善のため大きく歯を動かしていく場合は不向き。

【各矯正の特徴】

成人矯正
マウスピース
小児矯正
価格
825,000円
825,000円
825,000円
調整料
2,200円
2,200円
2,200円
期間
3-5年
3-5年
3-6年
見た目
清掃性
確実性
年齢
14歳-
14歳-
5-10歳

【矯正治療の流れ】

STEP.1 ご予約をお取りください

痛いところもないのに歯医者に行くのもなあ、と思われる方も多いでしょうが、少しでも歯並びがきになるなら一度歯医者さんに相談してみるのが一番です。
まずはお電話にてご予約をお取りください。
「歯ならびの相談がしたい」
とお伝えいただければご予約をお取りいたします。

STEP.2 矯正相談(2回通院)

初回からいきなり矯正治療がスタートするワケではありません。
本当に矯正しなければならないのか、治療費、期間、痛みなど不安なこともいっぱいでしょう。
そういった不安を解消するためにも、矯正治療を希望される方は、まず矯正相談というものを受けていただきます。
まず、矯正治療に必要な資料(レントゲン写真や歯型の型取り、お口の中の写真)をとらせていただき、それを元に次回の診療時に、矯正治療の必要の有無、当院での治療が可能かどうか、期間、費用、矯正治療を行う上でのメリットやリスクを説明させていただきます。
また、矯正を行う前に治しておいたほうがいいムシ歯や歯周病がある場合は、まずこちらを優先します。
※矯正の内容説明自体には料金はかかりませんが、レントゲン撮影には保険料金がかかります。

STEP.3 矯正治療開始(2~4回通院)

矯正相談を受けて、しっかりと内容を理解し、当院での矯正治療にご同意頂けるようであれば、いよいよ矯正治療開始です!
各治療法にあった矯正装置を装着します。
小児矯正(床矯正)やマウスピース矯正(インビザライン)の場合は型取り(無料相談時のものより精密にとります)と装置のおわたし、成人矯正の場合はブラケットを一気に装着するのが困難なので、2~4回の通院に分けて装着していきます。
装置をつけた直後は痛みが出たり、発音が難しくなったりしがちですが、数日で慣れてきますのでご安心ください。

STEP.4 矯正調整(月1回来院)

治療開始後は月に1回のペースで調整に来院してください。装置が壊れていないか、正しい方向に歯が動いているかを確認します。
2年前後の治療期間になる方が多いので、その間ムシ歯になったりしないようしっかりと清掃を行ってください。
3-5年

STEP.5 矯正治療完了

長かった矯正治療もついに終盤です。
歯医者側から見ても問題なく、患者様、ご家族の方にも満足いただける状態になったところで矯正装置を外します。

STEP.6 保定

装置が外れる=終わりではありません。
動いた歯たちはなんとか元の位置に戻ろうとします。これを後戻りといいます。
完全に元にもどってしまうようなことはまずありませんが、矯正して何年かしたらなんだかまた歯がガタガタになってきたという話をきいたことがあるかもしれません。
マウスピースを使ったり、歯の裏にワイヤーを接着することで後戻りを防止することができます。
これを保定といい、可能な限り長く保定していただき、きれいな歯並びになった状態を維持していきましょう。
歯並びがよくなった後は、ガタガタだった頃と比べて格段に歯磨きがしやすくなることでしょう。
しかし磨きやすくなったからといって手を抜いてしまうと、せっかくキレイになった歯並びでもムシ歯になってしまっては意味がありません。
矯正は終わってからが勝負です。ただキレイに並んだ、そこでおしまいではなく、美しく健康なお口の環境を生涯維持していく、そのサポートをすることが私たちの喜びです。